音楽を主食とする化物ブログ

 

                                       視聴したアルバムを図々しくちょい辛口で批評したりします

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Posted on --/--/-- --. --:-- [edit]  /  TB: --  /  CM: --

pagetop △

倉橋ヨエコ「ただいま」(2005) レビュー 

ただいま

日本のシンガーソングライター、倉橋ヨエコの4thアルバム「ただいま」を紹介します。

倉橋ヨエコは2000年から活動していた比較的最近のシンガーソングライターで、テンションの高い曲調にややネガティブ寄りの歌詞を綴った作風が特徴。女性を中心に高い支持を集めていました。

そして2008年に突然の廃業を宣言しますが、理由はなんと「これ以上ない最高の作品を作ることができたから」。こんな潔い引退ができた人はそういないと思います。しかし彼女はたった齢32で、活動歴およそ8年でその域に到達してしまった。すごすぎる。

そんな彼女のラストアルバム「解体ピアノ」は、それはまあ素晴らしい出来だったのですが、レビューは今まで聴いてきたものを順々に、気が向いたらしていきたいと思います。

それでは以下全曲レビューと総評。


[全曲レビュー]

1. 楯  ★★★★☆

弦楽器、ベース、ピアノ、シンセの絶妙な絡み具合がそれだけで心地良いです。特にストリングスの荘厳さがボーカルの旋律を引き立てていて素晴らしい。ヨエコ氏の独特な歌声は、好みが分かれるところですが、ぼくには「この楽曲にはこの声しか嵌らない」と思うほどの魅力を感じます。

2. ここにいる  ★★★★☆

ジャジーでダークで、それでいてとてもキャッチーな楽曲。ヨエコ氏のやさぐれた歌声、そして歌詞がとても痛快で、同じ言葉を並べ立てたサビに強烈な中毒性を感じます。恐るべし。

3. 線を書く  ★★★★★

ノリが気持ち良いジャズ歌謡。歌詞の切なさを表現する言葉選びが素晴らしく、メロディーも最高。男性のコーラスが入っていますが、これまた良いアクセントになっていて切なさを増幅させていますね。ちなみに男性コーラスはANATAKIKOUという音楽グループらしいです。

4. シーソー  ★★★★☆

3拍子。ピアノとパーカッションを基に置いた静かな曲調ですが、やはりメロディーセンスというか、ポップ性がずば抜けてますね。歌声の力強さがひしひしと伝わります。言葉の情景が脳裏を駆け回って飲み込まれそうです。

5. 卵とじ  ★★★★★

倉橋ヨエコ屈指の明るい名曲。いや、曲はとても明るいですが歌詞も表裏のない明るさかというと、言い切れませんが。解釈次第ですね。「見えない気持ちを卵とじ お弁当に詰めまして」なんて、なんとも潤沢で可愛らしい詞じゃありませんか!

6. 裏返し  ★★★★☆

非常に惹きつけられるキャッチーなイントロ。M2と同じ感想ですが、同じ言葉を並べ立てて何度も問いかけてくるような力強さが非常に良い。何度も繰り返すことによって現れる必死さや焦燥感が美しいメロに引き立てられていると感じますね。

7. シナリオ  ★★★★

アコーディオンの音とピアノの音が混じりあっていてとてもお洒落。その他は歌詞といいメロといいM6と同じ感想ですかね。

8. 石鹸ガール  ★★★★

ピアノ、フィンガースナップ、そして本人の歌とコーラスのみ(ちょっと口笛も)で構成されたシンプルな楽曲。シンプルながらとても広がりがあります。キャッチーすぎるメロと展開も健在。歌詞のフレーズ一つ一つに重量感を感じます。

9. 昼の月  ★★★★★

M2に近いジャジーでダークな楽曲かと予想して聴いていたら、Bメロの美しさにやられました。水しぶきをあげて流れ込むようなピアノの洪水が耳に馴染んで心地よい。倉橋ヨエコさん自身のために歌った歌、という強い意志が感じられます。

10. ピエロ  ★★★★

ピアノとアコギで彩られた優しいメロディと、哀愁の篭る歌詞。サビのメロが印象的です。M3と同じくANATAKIKOUがプロデュースとコーラスに携わっています。

11. 春の歌  ★★★★★

締めは明るく爽やかに、可愛らしく。「元気は出るまで出すな」「元気はそろそろ出るよ」このフレーズにどれだけ元気を貰えたことか。頭に流星が降り注ぐような衝撃と、パズルにピースを嵌めたような気持ち良さを感じました。完膚なきまでに名曲。ただ一点だけ、文句なしの満点評価ではあるんですが、実はこの曲、動画サイト上にヨエコさん本人による弾き語りラジオ音源が転がっていまして、それがまあ正直なところCD音源より好きなんですよ。なのでこの場でオススメしておきます。


[総評]

確かに全体的にとてもネガティブで、女性的な執着心に溢れた楽曲群となっていましたが、ただネガティブなだけではなく、前向きの明るさに満ちた旨みのあるネガティブさでした。ヨエコさんは自身の曲を100%自分のために歌っていて、たまたま通りすがりの幾人が共鳴を感じてくれた、と自身の作品について謳っていますが、とんでもない。これは偶々なんて言葉を用いる必要がないぐらい強い共感性もとい吸引力を持っていると思います。これだけ一人の人間が持つ思考と感情の変遷を綺麗にまとめることができたのは、ひとえに倉橋ヨエコの溢れて止まないポップセンスと詩人性、そして協力者の理解がなし得た結果であると思います。明るい曲も暗い曲も、忙しない曲も大人しい曲も、全てが絶妙な配合で溶け込んでコンパクトに収まった名盤です。ぼくにとっては超が付く名盤です。癖は強いので入口が既に分かれ道な感じはしますが、是非一聴を。

★★★★★


この動画、PVは非公式です。というより、所謂「合わせてみた」というやつですね。元はOren LavieのHer Morning Eleganceという曲の公式PVなのですが・・・まあ、とても合ってるので良しとしましょう。

スポンサーサイト
Posted on 2014/03/10 Mon. 01:21 [edit]  /  TB: 0  /  CM: 4

pagetop △

コメント

非常に高評価ですね。言いたいことがだいたい総評に書いてありました。きくおさんや谷山浩子さんをレビューされていたので、いずれ彼女も出てくるかなとは思っていましたが。
私も彼女の『ポガティブ』な作風は好きですよ。安定と不安定の狭間を行くというか、不穏なんだけどそこを越えたところにあるキャッチーさやメッセージ性に惹かれると後戻りできない中毒性がありますね。他の作品のレビューも楽しみにしております。

hawaiibem #- | URL | 2014/03/11 23:16 - edit

Re: タイトルなし

hawaiibemさん、コメントどうもです。
そういえば以前投稿したきくおさんのレビューにチラッとヨエコさんの名前を出してましたね。
ネガティブなのにポジティブ、重いのにポップ、そういった相反した2面性のある不可思議なところにやはり多大な魅力を感じます。

他の作品のレビューは少々間が空いてしまうかもしれませんが、気長にお待ちくださいませ。

長いねむけ #- | URL | 2014/03/12 19:32 - edit

長いねむけ様
こんばんは

倉橋ヨエコは僕も好きで
ただいま、東京ピアノを特に愛聴しております。
だんだんアレンジが厚くなっていくに従って
ちょっと冷めてしまいました。
本作辺りがその入口でした。

とは言え、歌詞の面白さは相変わらずなので
たまには聴きますが。

GAOHEWGII #- | URL | 2014/03/16 02:24 - edit

Re: タイトルなし

GAOHEWGIIさん、コメントありがとうございます。
GAOHEWGIIさんもヨエコご存知でしたか!嬉しいです。

アレンジの派手さは確かに好みの別れるところかもしれませんね。
他のヨエコファンの方のレビューを見ても、ヨエコ後期の作品は絶賛する人と「これじゃない」と一蹴する人で二者択一な感じがします。
ぼくの場合、まあ評価を見れば一目瞭然ですが前者ですね。というか、よく見たらこのブログの最高評価作品が今のところどちらもガチャガチャとした厚いアレンジの曲群でした。かなり好み出てますね・・・(笑)

長いねむけ #- | URL | 2014/03/16 09:52 - edit

pagetop △

コメントの投稿

Secret

pagetop △

トラックバック

トラックバックURL
→http://longsleeperisbad.blog.fc2.com/tb.php/57-bf8c3c5a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

pagetop △

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。