rei harakami「わすれもの」(2006) レビュー
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ハラカミは1970年広島で生まれ、1996年にメジャーデビュー。以降CM音楽製作や他アーティストのプロデュースやリミックスなどで高い評価を受けていた他、シンガーソングライターの矢野顕子氏とユニットを組むなど数多くの活動を手がけていました。
しかし2011年の7月27日に脳出血のため急逝。享年40。
未だに彼の死を受け入れきれていない自分ですが、この場をもって改めて冥福を願いたいと思います。
ハラカミの作風は主にテクノ・エレクトニカ系に傾倒しており、オリジナルアルバムの他にはリミックスアルバムなども出していて、どれもユニークな作品が取り揃っています。
そんな中今回紹介するのは、ハラカミがまだ10代だった1989年頃から2006年までの17年間で表に出ることのなかった音源をまとめた「レア音源集」アルバム。寄せ集めとも言い換えられるような大雑把なコンセプトの作品で、ハラカミ自身もこのアルバムを「在庫処分」と卑下するようなコメントを添えていますが、ぼくにとってはハラカミの中でも特に好きなアルバムだったりします。
最近は記事の更新頻度がめっきり下がって、色々と思い入れの強いアルバムばかり紹介しているので評価の甘々っぷりが目立ちますが、あくまで超主観的なレビューブログなのでご容赦ください。
というより最近は暇な時はレビューを書かずにひたすら未視聴のアルバムを聴いて星を付けることばかりしていたので、単純に評価を付けただけのアルバムが気づけば200枚も溜まっていました。少しずつ感想を書いて放出していきたいと思います。
[全曲レビュー]
1. にじぞう ★★★★☆
イメージでいうと柔らかくて丸みのある音が跳ね回っているような曲。しかししっかりと芯のあるサウンドなので、グルーヴを体で感じられてとても気持ちの良い耳触りです。メロディは90年代テクノの硬派な要素を残しつつサウンドに合ったポップなものとなっています。
2. あるテーマ ★★★★★
ポップでしっとりした空気感。それでいて気分が段々と高揚していくような息を巻く展開が素晴らしい1曲です。コードの気持ちよさと跳ね回るリズムに意識を飲まれて実に良い。
3. いとぐち ★★★★
M2から共通の独特な半音感のあるコードシンセはそのままに、畝ねるベースラインがよく聴こえる低音の響くクールな1曲です。パラパラと落ちては消えていく高音が雨のような温度感で素敵。
4. まちぶせ ★★★★
一転してダンサブルなパーカッションとファンクに畝ねるシンセがカッコいい一曲。ところどころに挟まれるピカピカしたSEがポップな遊び心を感じさせて素敵です。
5. わすれもの ★★★★☆
ループの中に様々な展開が交差する渋い一曲。ハラカミ風トランスとでも言えばいいのか、シンプルながら鮮やかなアレンジと音の耳障りの良さ、そして個性的な半音感でトリップしそうになります。
6. きえたこい ★★★☆
コロッとした音の粒が波のように曲の底で漂っている、そんなイメージ。楽しさと儚さが入り混じるような楽曲で、曲名の妙を感じました。
7. おかし ★★★★☆
今作最長の9分半。シニカルなコード進行で緊張感のある雰囲気の曲です。ディープパープルを彷彿とさせるシンセ音が堪らない。
8. おむかえ ★★★☆
音の波紋が次々広がっていくような、流れるような一曲。ハットのこ気味良さは雫が落ちる様を描いているようなイメージが沸きます。
9. めばえ ★★★
出だしから全体の雰囲気までM3とほぼ全く同じで、加えてM3よりも2分ほど短い楽曲。なので、おそらくM3の前身にあたる作品だと思います。ラストに向けて最後のクールダウン。
10. さようなら ★★★★☆
機械的で無機質なリフと展開がこの上ない寂寥を感じさせる一曲。初めて聴いた時からとても好きだった楽曲ですが、ハラカミが亡くなってからはimoutoidの「PART3」同様、聴く度にこみ上げるものを感じるようになりました。胸に残る名曲です。
[総評]
歌モノがJ-POPという名でメジャーシーンを駆け回る中、インストのエレクトロニカという、決して広い層が聴きたがらないような狭く無機質なジャンルでハラカミはPOPを紡ぎ出した。その音はとてもキャッチーで、どこか温かみがあり、彼の「生」を感じさせます。彼の他のアルバムである「[lust]」や「ゆうげ」なども、アルバムを通した芯のあるテーマで素晴らしい作品であると感じるのですが、このアルバム「わすれもの」は、彼の生涯通しての音楽、その時その時に残した彼なりのポップさが一つに繋がれたような、そんな大きく深い思いが芯に込められているような気がして、どうにも心惹かれて止まないのです。聴けば聴くほど味わい深くなって、まだまだ多くの気づきを見つけさせてくれそうな、そんな名盤。
★★★★☆
しかし2011年の7月27日に脳出血のため急逝。享年40。
未だに彼の死を受け入れきれていない自分ですが、この場をもって改めて冥福を願いたいと思います。
ハラカミの作風は主にテクノ・エレクトニカ系に傾倒しており、オリジナルアルバムの他にはリミックスアルバムなども出していて、どれもユニークな作品が取り揃っています。
そんな中今回紹介するのは、ハラカミがまだ10代だった1989年頃から2006年までの17年間で表に出ることのなかった音源をまとめた「レア音源集」アルバム。寄せ集めとも言い換えられるような大雑把なコンセプトの作品で、ハラカミ自身もこのアルバムを「在庫処分」と卑下するようなコメントを添えていますが、ぼくにとってはハラカミの中でも特に好きなアルバムだったりします。
最近は記事の更新頻度がめっきり下がって、色々と思い入れの強いアルバムばかり紹介しているので評価の甘々っぷりが目立ちますが、あくまで超主観的なレビューブログなのでご容赦ください。
というより最近は暇な時はレビューを書かずにひたすら未視聴のアルバムを聴いて星を付けることばかりしていたので、単純に評価を付けただけのアルバムが気づけば200枚も溜まっていました。少しずつ感想を書いて放出していきたいと思います。
[全曲レビュー]
1. にじぞう ★★★★☆
イメージでいうと柔らかくて丸みのある音が跳ね回っているような曲。しかししっかりと芯のあるサウンドなので、グルーヴを体で感じられてとても気持ちの良い耳触りです。メロディは90年代テクノの硬派な要素を残しつつサウンドに合ったポップなものとなっています。
2. あるテーマ ★★★★★
ポップでしっとりした空気感。それでいて気分が段々と高揚していくような息を巻く展開が素晴らしい1曲です。コードの気持ちよさと跳ね回るリズムに意識を飲まれて実に良い。
3. いとぐち ★★★★
M2から共通の独特な半音感のあるコードシンセはそのままに、畝ねるベースラインがよく聴こえる低音の響くクールな1曲です。パラパラと落ちては消えていく高音が雨のような温度感で素敵。
4. まちぶせ ★★★★
一転してダンサブルなパーカッションとファンクに畝ねるシンセがカッコいい一曲。ところどころに挟まれるピカピカしたSEがポップな遊び心を感じさせて素敵です。
5. わすれもの ★★★★☆
ループの中に様々な展開が交差する渋い一曲。ハラカミ風トランスとでも言えばいいのか、シンプルながら鮮やかなアレンジと音の耳障りの良さ、そして個性的な半音感でトリップしそうになります。
6. きえたこい ★★★☆
コロッとした音の粒が波のように曲の底で漂っている、そんなイメージ。楽しさと儚さが入り混じるような楽曲で、曲名の妙を感じました。
7. おかし ★★★★☆
今作最長の9分半。シニカルなコード進行で緊張感のある雰囲気の曲です。ディープパープルを彷彿とさせるシンセ音が堪らない。
8. おむかえ ★★★☆
音の波紋が次々広がっていくような、流れるような一曲。ハットのこ気味良さは雫が落ちる様を描いているようなイメージが沸きます。
9. めばえ ★★★
出だしから全体の雰囲気までM3とほぼ全く同じで、加えてM3よりも2分ほど短い楽曲。なので、おそらくM3の前身にあたる作品だと思います。ラストに向けて最後のクールダウン。
10. さようなら ★★★★☆
機械的で無機質なリフと展開がこの上ない寂寥を感じさせる一曲。初めて聴いた時からとても好きだった楽曲ですが、ハラカミが亡くなってからはimoutoidの「PART3」同様、聴く度にこみ上げるものを感じるようになりました。胸に残る名曲です。
[総評]
歌モノがJ-POPという名でメジャーシーンを駆け回る中、インストのエレクトロニカという、決して広い層が聴きたがらないような狭く無機質なジャンルでハラカミはPOPを紡ぎ出した。その音はとてもキャッチーで、どこか温かみがあり、彼の「生」を感じさせます。彼の他のアルバムである「[lust]」や「ゆうげ」なども、アルバムを通した芯のあるテーマで素晴らしい作品であると感じるのですが、このアルバム「わすれもの」は、彼の生涯通しての音楽、その時その時に残した彼なりのポップさが一つに繋がれたような、そんな大きく深い思いが芯に込められているような気がして、どうにも心惹かれて止まないのです。聴けば聴くほど味わい深くなって、まだまだ多くの気づきを見つけさせてくれそうな、そんな名盤。
★★★★☆
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category: 日本 - テクノ、ニカ系
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