音楽を主食とする化物ブログ

 

                                       視聴したアルバムを図々しくちょい辛口で批評したりします

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ピノキオピー「しぼう」(2014) レビュー 

しぼう 1

大晦日ですね。

ニコニコ動画にてVOCALOIDを用いた楽曲を発表しているアーティスト、ピノキオピーよりメジャー2ndボカロオリジナルアルバム「しぼう」を紹介します。

ピノキオピーさんのアルバムは去年の大晦日にも「2013年で一番良かったアルバム」として自主制作4thアルバム「遊星まっしらけ」を紹介させていただきました。(リンクはこちら

今回のこのアルバムは今月3日にリリースされたばかりですが、やはり「2014年で一番良かったアルバム」として今年最後のこの日に紹介させていただきます。

と言っても今年発売されたアルバムはそれほど数を聴いていないので、「暫定的に」という言葉を念のために付加しておきたいと思いますね。

それでは以下全曲レビュー&総評です。


[全曲レビュー]

1. しぼう  ★★★★

ゆったりとした流れのある優しい水底に沈んだような前半から、突如として狂ったようにギター、ドラム、果てにはボーカルが暴れだす。メルヘンチックな世界観に没入させて、ハッと現実を突きつけるようなピノキオピーらしいオープニング。今作のテーマを決定づける印象的な一曲です。うおうおうお

2. はじめまして地球人さん  ★★★★☆

アップテンポでポップな一曲。来年発売される3DSゲームソフト『初音ミク Project mirai でらっくす』のテーマソングとして書き下ろされた楽曲です。ピノキオピーさんはよくアルバム書き下ろし曲にこのような爽やかで明るい曲を入れたりするのですが(1stメジャーの「ジゼミ・イン・ザ・アンダーグラウンド」然り、自主制作2ndの「ファンタジーへようこそ」然り、自主制作3rdの「とうめい」然り)、今作は珍しくシングルカットされるようです(ゲーム発売に合わせてなので来年初頭になるでしょう)。「明るく爽やか」といってもやはり歌詞はピノキオピー氏の真骨頂。人間を客観的に捉え、ハッとするフレーズが随所に埋め込まれています。それでもなお愛そうとするその姿勢は、やはり尊敬してやまない。

3. よいこのくすり  ★★★★☆

ポップでキャッチーながらも哀愁を感じる一曲。この諦観漂う感じは氏の3rdアルバム「遊星まっしらけ」の表題曲を彷彿とさせますね。サビの叙情的な歌詞にホロリとさせられるのは勿論のこと、A~Cメロの歌詞表現に唸らされます。

4. 絵の上手かった友達  ★★★★

シンセのリフが素敵な、氏には珍しいストレートなラブソング。ストレートと言っても、歌詞の言葉選びがストレートというだけで内容は「男の子をフッた女の子側の視点」という捻くれ具合。3rdのM6「アッカンベーダ」でもそうですが、何故男性のあなたが年頃の女の子の心的表情をここまでリアル且つダイナミックに表現できるのか・・。名曲です。

5. すろぉもぉしょん  ★★★★★

今作のベストナンバー。ミクやゆっくりのような電子音声によく合ったデジタルなサウンドながら、昭和歌謡的で懐かしさを感じさせるメロディーとお祭り騒ぎなノリの良さで、一発で心を鷲掴みにされました。何より抜きん出て良いのは歌詞ですね。なんというか、今までのピノキオピー氏の歌詞は、自身の経験を元にした主観的なものが少ない印象があったんですよね。どれも他の既製物や人の行動を傍から眺めて、そっから感じ取ったことを描いているという印象がありました(いわば天界から人間界を見下ろして曲を作っている感じですね)。と言ってもそれは決して悪いことではなく、それ故にぼくは彼の鋭い観察眼に強く惹かれたのですが。しかし今作「すろぉもぉしょん」で、彼は地に足を下ろしました。そんな彼の人間臭さが全面に出ていると感じます。そして足を下ろしただけでなく、それまで観察してきたものを全て肯定し、許してしまいました。「そんなもんだ」と。ついにここまで来てしまったのか。一体こっからどこへ向かうつもりなんだあなたは!・・・とだんだん熱くなってきたところでどれだけこの曲が自分の心を動かしたのかはもうお分かりになられたと思うので、この辺にしておきます。

6. Last Continue  ★★★★☆

エレクトロ成分マシマシの一曲。原曲は2009年3月頃に発表された氏の自作曲「Continue」。2010年2月頃に発表され2ndアルバムにも収録された「Re:Continue」を含め2度目のリメイクが本作となります。エレクトロ成分が増え、大幅にアレンジが加えられた本作・・・簡潔にいうと、アレンジでここまで詞の印象が変わるのか!と改めて驚かされました。正直、原曲と一度目のリメイクまでは氏の楽曲の中ではあまり目立たない印象を持っていたんです。割と明るめの雰囲気で「あの日に戻れたらいいのにな」というストレートに後ろ向きな歌詞、加えてサビのメロと歌声が単調だったので、チープな印象を持ってしまっていました(ギターソロはとても好き)。しかし今作は一転して低音のシンセベースが畝ねるシリアスな雰囲気。曲もメロも展開に幅があり飽きさせない。何よりボーカルの調整と歌詞のマッチ具合が素晴らしい。そして改めて「Re:Continue」を聴くと、また印象が変わってくるのがわかります。見事に生まれ変わり、曲として完成した一曲だと思います。

7. たりないかぼちゃ  ★★★★☆

ファミマ×VOCALOIDのハロウィン企画で制作された一曲。ブラスを多用したビッグバンド風×ピコピコ音楽といった面白い構成。曲調もお祭り騒ぎで楽しいです。その一方歌詞の方はというと・・・ああなるほど、「たりない」はそっちの「たりない」なんですね。相変わらず捻くれていて素晴らしいです。ピノキオピー氏のこういう歌詞は「皮肉」と捉える人も多いですが、ぼくとしては皮肉でもなんでもなく、氏の「本心」なのではないかなあと思ったりしますが、どうなんでしょうか。全てを理解した上であえてそっちへ行きたいなんて、とても素敵じゃありませんかね。それはまあ置いといて、こっちの意味での「たりない」は最近だと阿部共実先生の漫画「ちーちゃんはちょっと足りない」が印象的で耳に残っていますが、その辺りからヒントを得たのでしょうか。そちらも個人的には気になるところです。

8. ヒーローが来ない  ★★★★☆

アルバム書き下ろし曲。こちらもM2と同じく「明るく爽やか」な曲調。題材はヒーローものなのにひたすら退廃的な現実を突きつけて辛い曲です。こんなに思いつめているのにヒーローは来ない・・・どうして・・・。曲の展開がとても好き。

9. ニナ  ★★★★★

こちらで紹介済み。リマスタリングされていて音がより一層キラキラと輝いて聴こえます。M8→M9→M10の流れが素晴らしい。

10. ラブ イズ オノマトペ  ★★★★★

ドンドコドコドコな一曲。サウンドはエレクトロハウスを土台にした感じのダンス系ミュージックですが、ダンスというより音頭といった方がしっくりくるほど日本っぽさを感じますね。曲名の通りオノマトペが歌詞の随所、というか4割ぐらいを占めていて、その使いどころやチョイスがやはりセンスを感じさせます。純真な無邪気さが揺らいでいくような描写が鋭く恐ろしい。

11. 100年前の僕、100年後の君  ★★★★

一転してブレイクコアのフレーバーが組まれたシリアスな一曲。こちらもアルバム書き下ろし曲。珍しく字余りしそうなほど歌詞のフレーズが長く、表現もストレートで、その分だけ曲の必死さを感じさせます。一歩間違えると不協和音になってしまいそうなメロディの不安定さが、詞世界の感情の不安定さを表しているようで逸品。

12. こどものしくみ  ★★★★★

こちらで紹介済み。M9と同じく。

13. こあ  ★★★★★

ラストもアルバム書き下ろし曲。曲長が8分越えと氏の中でもダントツで長い曲です。それに反し歌詞の量は他楽曲の2~3分の1ほど。しかしその少ない歌詞と、一音一音大事そうに紡ぎ出されたサウンドが、今作のテーマ全てを表しているかの如く熱い情報量が込められていて、まさに傑作と呼べるでしょう。おそらくこの5年半、彼が初めて曲を発表してからここまでの道、その経験がこの楽曲を作り上げたのだと感じます。M5をベストナンバーと綴りましたが、今作もまた、ベストナンバーです。


[総評]

「死生観」という大きなテーマに真っ向から挑んだ今回のアルバム、その中に込められた思いは100%理解はできずとも十二分に自分の死生観を揺るがすほどの強さを持っていました。現実と幻想を繋げ広げたところにある彼の死生観は、どうしようもなく魅力的で、諦めと希望が入り混じったような複雑な、しかしどこか居心地が良い、そんな心情をもたらしてくれました。何より今作で感じ取った彼の「客観性」と「主観性」の融合は、更にステージを一段上げたような、いや、むしろ今までのステージを乗り越え新しいステージに一歩踏み出し挑戦を始めたような、そんな素敵な未来さえ感じさせます。VOCALOIDの魅力を最大限にまで磨き上げ、これから彼は一体どういった道を進んでいくのでしょう。非常に楽しみです。それでは皆さん、良いお年を。

★★★★★











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Posted on 2014/12/31 Wed. 00:03 [edit]  /  TB: 0  /  CM: 2

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コメント

はじめまして長いねむけ様。
このブログを初めて拝見した者です。
私はピノキオピーさんが凄く好きなのですが、趣味の合う友人がおらず、この興奮を分かち合えるところはないかとネットサーフィンをしていてこちらのブログを発見致しました。
ピノキオピーさんがこのように紹介されていることに、とても嬉しさを覚えています。幸福な気分にさせていただき、本当にありがとうございます。
これからも、こちらのブログをぜひ拝見させていただきたいと思います。

susoda09 #- | URL | 2015/02/01 08:47 - edit

Re: タイトルなし

susoda09さん、コメントありがとうございます。
自分と同じピノさんファンがこのブログを見て幸福な気分になってくれるとは、自分としてもとても嬉しく幸福なことです。
更新頻度も少なくひっそりとしたブログですが、これからもよろしくお願いします。

長いねむけ #- | URL | 2015/02/04 20:48 - edit

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